オリジナルコントのブログ

オリジナルコントの脚本

漫才 ミステリー作家になりたい!


 ボケ:三段落下がる行 ツッコミ:通常の段落の行 ()内は動きの説明、擬音の表現



   ボケ:お前さ漫才師になってなかったら、他にどんな仕事してみたかったなぁとか
   思ってた期間ってどのぐらいの時期だった?
ツッコミ:なんだよその聞き方!まぁそうだな中学校くらいまではプロ野球選手に憧れてたかな。
   ボケ:そうかなら高校入学したぐらいで現実が見えて、諦めた感じか…。
ツッコミ:嫌な言い方すんなよ!お前は漫才やってなかったら何やってんだよ!
   ボケ:俺はさ、今もなんだけどずっとミステリー作家になってみたかったんだよ。
ツッコミ:ミステリー作家?殺人事件とか起きる小説のやつ?
   ボケ:そうそう!よく知ってんじゃん!
ツッコミ:じゃあ作家で言うと例えば東野圭吾さんとか宮部みゆきさんとかか?
   ボケ:えっと…ごめん誰そいつら?
ツッコミ:いやお前ミステリー作家になりたいのに、知らねーのかよ!めちゃくちゃ有名だぞ!
   ボケ:まぁ先入観無しでピュアでいたいって感じ?
ツッコミ:何がだよ?
   ボケ:だからあんまり影響受けたくないから、ミステリー小説だけは逆に読まない
   んだよ…。
ツッコミ:お前他の小説も読まないだろ!読まないで、どうやって書くんだよ!
   ボケ:まあだからさ、とりあえず俺がオリジナルティ溢れるアイデアを元に考えた
   話を、今から話すからお前に聞いてもらって、小説として出版出来るかどうかを判
   断してもらいたいんだよ!
ツッコミ:オリジナルティ溢れるかぁ…まぁいいよ分かったよ。
   ボケ:ありがとう!まず、殺人事件の舞台は山奥の吹雪に閉ざされたペンションな
   んだよ。
ツッコミ:めちゃめちゃ影響受けてんじゃねーかよ!
   ボケ:…何が?
ツッコミ:割と良く聞く設定じゃんかよそれ!
   ボケ:そうか、まぁ読んでないから逆にかぶっちゃうのかもな…。
ツッコミ:ほんとかよ。
   ボケ:それで急に吹雪になって、しかも、そのペンションと街を繋ぐたった1本の
   橋が何者かによって燃やされて落とされちゃってさ、絶海の孤島状態でぺンション
   から帰れなくなっちゃうんだよ!
ツッコミ:え…!?
   ボケ:あのワンピースのエニエスロビーみたいな感じ。
ツッコミ:どんな場所にペンション立ててんだよ!
   ボケ:あと固定電話の電話線も犯人によって切られちゃうから、一切外部に連絡で
   きなくなっちゃうんだよ。
ツッコミ:ああじゃあ、携帯も繋がらないんだ…。
   ボケ:携帯…携帯かぁ…携帯があったかぁ…。(落ち込む)
ツッコミ:ええっ!!忘れてたの?
   ボケ:しまった…。
ツッコミ:普通に雪山なんだし、携帯電話は圏外で繋がらない設定でいいんじゃない?
   ボケ:ああ!そっか!そうだな!なるほどね!
ツッコミ:ちょっと初っ端から大丈夫か!?
   ボケ:でたまたまスキーとか温泉とかで旅行に来ていた人達が、同じペンションに
   泊まる事になってそこで血塗られた4件の連続殺人事件が起きるんだよ!!
ツッコミ:4件って結構壮大な話しなんだな…。
   ボケ:登場人物の一人目は50代の男でこいつは悪どい金融業で成り上がった、い
   わゆる評判の悪い成金社長なんだよ。
ツッコミ:ほうほう。
   ボケ:温泉旅行で来てたんだけど、まぁ普段から恨みを沢山買ってんだよな。
ツッコミ:なるほどね。
   ボケ:「何!?吹雪で帰れへんやと!?ふざけるな!電話も出来へんなんてそんな
   話し聞いてないわ!わしが1日何百億動かしてるか分かっとるのか!!」って怒鳴
   っちゃうんだよ。
ツッコミ:ああはいはい良くいるね、そうゆうアクシデントに弱くて偉そうな奴。
   ボケ:500億ベトナムドンやぞ!
ツッコミ:なにそれ聞いたこと無い通貨!!…でもまぁ大抵そうゆう奴が1番最初に殺されるんだよな…。
   ボケ:え!?…なんで分かったの?
ツッコミ:うそ…ごめん当たってた?
   ボケ:お前知らない間にまさか…俺の小説読んだのか?
ツッコミ:読んでないよ!てゆうか隠れて書いてたのかよ!
   ボケ:次の登場人物が3人とも40代の男で、仲のいい三つ子ね。
ツッコミ:仲のいい三つ子?
   ボケ:まあ外からは仲が良いって評判なんだけど、実は長男には奥単位の借金があ
   ってさ、次男は奥さんと別居状態にあって、最後の三男の頭には10円ハゲがあっ
   て、その事で悩んでるんだよ。
ツッコミ:ほうほう。
   ボケ:で今回は温泉旅行がてら三男の10円ハゲについて、ちゃんと兄弟で話し合
   う為にこのペンションに来たんだよ。
ツッコミ:いや10円ハゲが一番どうでも良いだろ!
   ボケ:そうか?…だからまあ一見仲良さそうでも実はあんまりそうでもない、三つ
   子なんだよ。
ツッコミ:ちょっと複雑なんだな…。
   ボケ:であと大手建設会社の役員の60代の男が来ていて、こいつはこのペンショ
   ンがある土地を買収しようと実は裏で企んでるんだよ。
ツッコミ:ほうほうなるほど。
   ボケ:で最後にこの5人がお世話になるペンションのオーナーが1人いて、このオ
   ーナーは過去の何かしらの出来事で心に深い傷を追ってて、その傷をつけた原因の
   人物が今回の宿泊者の中に実はいるんだよ。
ツッコミ:ほうほう、でそのオーナーはどんな人なの?
   ボケ:ペンションのオーナーは50代の男だよ。
ツッコミ:おっさんばっかじゃね-かよ!さっきから聞いてればよ!誰がそんなむさ苦しい小説読むんだよ!
   ボケ:まぁ、確かに登場人物は全員おっさんなんだけど、トリックがもう凄いから
   さ!
ツッコミ:それに登場人物6人で4人殺されたら、最後2人しか残んないじゃね-かよ!
   ボケ:何が?
ツッコミ:最後2人なら犯人じゃ無い方は犯人分かるじゃん!
   ボケ:…何言ってるかよく分からないけど、お前が今まで見てきたどの小説とも根
   底から違うから、一緒の感覚で見ないでくれよ!!
ツッコミ:え?…俺が間違ってんのか…?
   ボケ:お前が言った通り最初に言った偉そうな金融業の社長がまず、露天風呂の湯
   船の中で殺されちゃうんだよ。
ツッコミ:マジか…で死因は?
   ボケ:なんだと思う?
ツッコミ:え?…感電死とか?
   ボケ:え…嘘…また?…なんでわかったの?
ツッコミ:いやほんとごめん…そんなつもりは…。
   ボケ:ほんとに言ってくれれば読ませてやるから勝手に読むなよ!
ツッコミ:読んでないよ!なんかさっきからずっとどっかで聞いた感じがするんだよ。
   ボケ:そんな訳無いだろ!〇〇先生の全編オリジナル描き下ろしなんだから!
ツッコミ:自分の事先生って言うなよ!まぁでもなんにも見てないのにそれだけ考えられたら逆に凄いよ…。
   ボケ:で、この殺人がまさに前代未聞、奇々怪々、奇妙奇天烈、摩訶不思議、奇想
   天外、四捨五入、出前迅速、落書き無用な、不可能犯罪なんだよ!
ツッコミ:途中からドラえもんの歌入ってたけどな!おうっ!
   ボケ:ペンションから露天風呂まで続く唯一の通路のドアには鍵がかかってたんだ
   よ!つまりどうゆう事か分かるか!これはな密室殺人なんだよ!!
ツッコミ:密室殺人!?
   ボケ:そうだよ!密室殺人って知らないか?外部から侵入された痕跡が無い閉ざさ
   れた空間で起きる、一番難解な事件なんだよ!分かってんのかよ!
ツッコミ:…うん。
   ボケ:俺が探偵役だったら、参っちゃうよ!
ツッコミ:密室殺人自体は分かるんだけどさ…え?露天風呂なんでしょ?
   ボケ:そうだよ。
ツッコミ:それ密室殺人になってないんじゃない?
   ボケ:…まぁまぁ負け惜しみは後で聞くから。
ツッコミ:いや負け惜しみじゃないから!
   ボケ:どうやって密室空間を作ったか分かるか?
ツッコミ:いや、流石にそれだけだとちょっと分かんない…。
   ボケ:まず、ドアの鍵の部分にピアノ線を巻きつけるんだよ。
ツッコミ:ピアノ線を鍵に巻きつける…。
   ボケ:でそのピアノ線の一番下に氷をくくりつけて、氷はな時間が経つと溶けるだ
   ろ、それで次第に次第に氷が溶けていって自動的に鍵がガチャってかかるんだよ!
ツッコミ:え!?…ちょっと仕組みが分かんなかった、どうゆう事?
   ボケ:まぁまぁ負け惜しみは後で聞いてやるって。
ツッコミ:だからちげ-よ!
   ボケ:社長の遺体には、まずは一人目って血で書いてあるんだよ。
ツッコミ:うわっ!連続殺人の予告みたいになってるんだ。
   ボケ:そしたらその遺体を見た60代の会社役員の男が震える声で「俺は何も悪く
   ない!…俺は!何も悪くなーーい!!」って急に怯えだして、自分の部屋にこもっ
   ちゃうんだよ!
ツッコミ:やばい、そいつが次に殺されそう…。
   ボケ:…お前…やっぱり俺の部屋の机の2段目に閉まってある鍵付きのノート見た
   だろ?
ツッコミ:いや見てないよ!なに中学生女子の日記帳みたいな隠し方してんだよ!
   ボケ:お前が言ったように、次に殺されるのがこの会社役員の60代の男で死因は
   先に言うとナイフでの刺殺です。
ツッコミ:なるほど…刺殺ね…。
   ボケ:それでこれも密室殺人です。
ツッコミ:え!?これも?部屋に鍵がかかってたの?
   ボケ:勿論そうです、どうやって密室にしたのでしょう?
ツッコミ:だからそれだけじゃ分かんないよ!
   ボケ:この殺人は密室空間で、因みにしかも遠隔で殺されました。
ツッコミ:遠隔殺人って事?
   ボケ:そう、まず、ナイフにピアノ線を巻きつけて…。
ツッコミ:お前ピアノ線があれば何でも出来る訳じゃないからな?
   ボケ:で、ピアノ線を使ってナイフを天井から吊るして、吊るした根本に火をつけ
   たロウソクを灯して、だんだんロウソクが溶けて短くなるだろ?
ツッコミ:うん…。
   ボケ:それで時間が経ってある地点までロウソクが行くと火がピアノ線を燃やし
   て、ピアノ線が切れてナイフが上から落ちてきて、被害者に刺さると…それで遠隔
   で殺害したんだよ。
ツッコミ:え!?…待って!?やっぱ全然わかんない!まずなんで、その仕掛けが室内にあるのに被害者は気づかないの?
   ボケ:だから負け惜しみはもう良いんだって!
ツッコミ:違うよ!ちゃんと仕組みを聞かせて欲しいんだよ!
   ボケ:それで食事の時間になっても、被害者が下りてこないから皆不審に思って、
   ドンドンって壁を叩いて、呼び出すんだけど、死んでるから勿論応答無いんだよ。
ツッコミ:うん…。
   ボケ:それでドアをさ、皆で体当たりで壊すんだよ。
ツッコミ:それも良くあるな!うんそれで?
   ボケ:せーの!ドン!せーの!ドン!せーの!ドン!せーの!ドン!せーの!ド
   ン!せーの!ドン!せーの!ドン!せーの!ドン!せーの!ドン!せーの!ドン!
ツッコミ:全然壊れねーな!ドアっ!!
   ボケ:意外とドアって壊れないんだよ、そうこうしてるうちにオーナーが鍵持って
   来てドアが開いて…。
ツッコミ:最初っからそうしろよ!
   ボケ:それで、2番目の殺人事件が発覚するんだよ。
ツッコミ:なるほどね…。
   ボケ:実はさ、この話の探偵役はもう決まってるんだよ…結末のシーンで格好良く
   「犯人はこの中にいるぜ!」って言うんだよ。
ツッコミ:あんまり格好良く無いけど…え?探偵役は誰なの…?
   ボケ:三つ子の三男。
ツッコミ:10円ハゲの奴か!
   ボケ:実は三男はIQ53万なんだよ。
ツッコミ:フリーザ!?
   ボケ:お前さ…ミステリー小説読むんだろ?ぶっちゃけ犯人誰だと思う?
ツッコミ:…いやまだ2件しか事件起きてないから分からないよ。
   ボケ:実はあまりに壮大過ぎてさ、俺にもよく分からないんだよ。
ツッコミ:はぁ!?
   ボケ:舞台と設定は完璧なんだけど、犯人だけが俺にも分かんないんだよ…。
ツッコミ:お前に分かんなかったら、誰にも分かるわけねーじゃんかよ!
   ボケ:俺の遺作としてさ、この作品の後半部分をお前に託したいんだよ!
ツッコミ:処女作が遺作かよ!
   ボケ:マルクスがエンゲルスに資本論を託した様に、伊能忠敬が日本地図を弟子達
   に託した様に、俺も親友であるお前に途中だけどこの大作の結末とさ…。
ツッコミ:自分で大作って言うなよ!
   ボケ:あと2件のトリックをさ…お前に託したいんだよ!!
ツッコミ:こっからどうすりゃ良いんだよ!
   ボケ:まぁあと一応もう1つだけ思いついた密室殺人のトリックのネタを言うと
   さ。
ツッコミ:お前密室好きだな…。
   ボケ:まぁ3番目は毒殺なんだよ。
ツッコミ:毒殺ね、うん、で?
   ボケ:大きい氷の中に毒蛇を入れて、被害者の部屋に投げ入れて氷が溶けるのをひ
   たすら待つっていうトリックなんだけどどう?
ツッコミ:冷凍食品じゃないんだから蛇死ぬだろ!
   ボケ:なんか良いエンデイングとか思いつかない?
ツッコミ:俺に聞くなって!
   ボケ:そして全員ホモだったみたいな…。
ツッコミ:そして誰もいなくなったみたいに言うなよ!
   全部俺の妄想でしたとか…。
ツッコミ:夢落ち!?…いやまぁ小説なんて全部妄想なんだから、そこは気にしなくても良いと思うけど。
   ボケ:お前はほんとに優しいな!今度はお前の自伝を書かせてくれ!
ツッコミ:絶対やめてくれー!




終わり。