オリジナルコントのブログ

オリジナルコントの脚本

コント:奥義伝授


  ボケ:三段落下がる行 ツッコミ:通常の段落の行 ()内は動き、擬音の表現


   ボケ(弟子):久しぶりだなハクリュウサイ…。
ツッコミ(師匠):ふん、お前か…久しく見ぬうちに随分とどす黒い邪気を纏う様になったの…。

   (弟子):たった一人の愛弟子に随分じゃねーか…。
(師匠):して…何用じゃ?
   (弟子):ハクリュウ寺に代々伝わる奥義を頂きに来た。
(師匠):ふん、どうせそんな所だろうと思っておったわ…貴様の邪気で山が汚れておる事
は昨夜から気づいておった…。
   (弟子):なら話が早ぇ、秘伝奥義が書かれた文書をよこせっ!

(師匠):ふん…奥義は文書などに書かれとらんわっ!奥義は師匠がたった一人にだけ、その時代の卓越した才能と人格を携えた愛弟子に直接教え込むのみでしか習得できんわ!!
   (弟子):そうか…ならさっさと教えろ…。
(師匠):なぜだ?10年前奥義は伝えられなかったが、あの時20歳でこの山を降ったお前の実力なら、もはや奥義は必要無かろう…。
   (弟子):ふん、だから山に籠もってばっかじゃ何も得られないんだ…。

(師匠):何じゃと!
   (弟子):ハクリュウ寺がいつまでもトップでいられると思うな、都は今まさ    
   しく血で血を洗う戦国時代さ…やはり10年前山を降りたのは正解だった様だ…。

(師匠):貴様っ!…わしが鍛え込んやったその技で…一体何人殺めた!!
   (弟子):さあな…。
(師匠):確かに10年前のお前には100年に一人の武の才能を見た…そして透き通る様な純真な目でお前は、家を焼かれ、親を失った子ども達の為に山を下り都へ行くと言った…今思えばあの時やはり止めるんだった…もはや分かっておると思うが、今のお前にはハクリュウ寺奥義を伝授する事はまかりならんっ!!!
   (弟子):ふ~…ならやはり…力ずくで聞き出すしかないか…頑固さは10年経って  
   も変わらねーな…。
(師匠):6代目ハクリュウサイ最後仕事として例え殺されようと、いや刺し違えてでも貴様の目を覚ませてやるわっ!!!はーーーーーーーーーーっ!!!!!(構える)
   (弟子):ハクリュウサイ、10年間山に籠もっていたお前は俺が都で何をしていた  
   か、やはり想像もつかなかった様だな…山を降りたあの時点でさえ俺は貴様を超えて
   いたのだ…。(独特な構えをする)
(師匠):ぐっ…なんじゃあの構えは…こやつどれだけ腕を上げたのじゃ…。
   (弟子):俺がどれだけ強くなったのかすらもはや想像もつくまい!!
(師匠):えぇい!能書きはもういい!さぁかかって来い!!
   (弟子):はぁーーーーーーーーーー!!!!!!!(走ってハクリュウサイに技を
   仕掛ける)
(師匠):あ゛わ゛っ!(急に走って来られたから、顔を伏せてとっさに手を出す)
   (弟子):(ハクリュウサイの手がたまたま顎に当たり倒れる)
(師匠):ん?…ん゛?…え?…何?あた?あたったの…?手が?…顎に?…。
   (弟子):………うわっ!あ゛ー!びっくりしたー!(目を覚まし起き上がる)
(師匠):ん?大丈夫か?
   (弟子):………うわ!もうまぐれきついわーじじいよ!出会い頭のカウンター
   か!?
(師匠):…。
   (弟子):ハクリュウサイっ!もう偶然は無い!今のチャンスで俺を仕留められなか
   った事を後悔しろっ!!
(師匠):やはりラッキーパンチだったか…ぐっ…こ、来いっ!!!
   (弟子):はーーーーーーーーっ!!!!!!(走ってハクリュウサイに技を仕掛け
   る)
(師匠):わ゛ぁ!!(再び顔を伏せてとっさに手を出す)
   (弟子):(再度ハクリュウサイの手が顎に当たり倒れる)
(師匠):あれ?…また倒れた…。
   (弟子):………うわっ!!はぁ…はぁ…はぁ…あれ?なんで俺ハクリュウ寺にいる
   の…?(軽く記憶喪失になる)
(師匠):えーーーーーーーーっ!!!!!うそっ!?こいつ10年より弱くなってるっ!!??
   (弟子):あ、そうだ、奥義を奪いに来たんだった…。
(師匠):ちょっと今脳震盪起こして記憶喪失になりかかってたし…。
   (弟子):あっ!ハクリュウサイ…おい、奥義をよこせ…。
(師匠):うん、それでわしが断って戦う事になったよね?
   (弟子):ん?あそうか思い出した、ハクリュウサイっ!!!くらえっーー 
   ー!!!!!
(師匠):はっ!(再度手を出す)
   (弟子):(再度ハクリュウサイの手が顎に当たり倒れる)
(師匠):うわっ!やっぱりこいつ確実に弱くなってる!!うそ…なんで…?
   (弟子):あ゛っ!何された、俺!?俺に何した今っ!!!???(起き上がる)
(師匠):いや普通にパンチしただけだけど…。
   (弟子):ああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ――――――――――!!!!!(再
   びやけぎみに走ってハクリュウサイに技を仕掛ける)
(師匠):はっ!(再度手を出す)
   (弟子):(再度ハクリュウサイの手が顎に当たり倒れる)
(師匠):弱っ!!!何こいつ…え…?都で何やってたの…?
   (弟子):あっ!(目を覚ます)……ちくしょーーーーーーーーー
   ー!!!!!!!!!!!…なんでだ!?…10年前ハクリュウサイとは最低でも互
   角だったはず…なんで!?俺こんな弱くなっちゃったの…?
(師匠):…お前登山口からここまで来るのにどんだけかかった?
   (弟子):え?3日位だけど…。
(師匠):10年前は6時間位で登ってたぞ…。
   (弟子):ええ!?…うそ?そうだったっけ?
(師匠):よく分かんないけど足腰は確実に弱くなってるな…。
   (弟子):ああ゛っ!!5年位サラリーマンやってたからかーーー!!??

(師匠):サラリーマン?え?いつまでやってたの?
   (弟子):半年前まで…。
(師匠):半年前まで!?
   (弟子):確かにあの時接待とか宴会とかいろいろあって、プリン体とかまぁタバコ
   も吸ってたし、ほとんど寝てなかったから…。えーーっ!!??でも俺100年に一
   人なんでしょ!?そんな5年位で…マジか!?…嘘でしょ!?
(師匠):まぁほら年齢的な事ももしかしたら…。
   (弟子):30で?
(師匠):割とほらお前早熟だったから…。
   (弟子):ピークが早く過ぎたとか?
(師匠):まぁ…わかんないけど…。
   え?じゃあ奥義は?
(師匠):多分教えても体力的に無理だよ思う…。
   (弟子):うそーーっ!!え!?でもブランクとかってさ!才能ある奴はあんまり関      
   係ないんじゃないの?たっちゃんみたいに…。
(師匠):まぁわっかんないけど…。
   (弟子):酒だってさ、よく仙人とかがぶがぶ飲んでんじゃん!
(師匠):まあ酔拳系の人は飲んでるけど…。

(師匠):でも会社の健康診断とか引っかかったりしなかったのか?
   (弟子):怖くて行ってないんだよ。
(師匠):行った方が良いよそれ、なんかちょっと顔色悪いし…。
   (弟子):そう…?
(師匠):あとさ、なんで奥義習得したいの?
   (弟子):…実はヒヒオマコゾウっていうテロリストと戦わなくちゃいけないんだ
   よ…奥義なきゃぜってー勝てねーし…ぜってーボコされるし…。
(師匠):ヒヒオか…噂では聞いていたが…。
   (弟子):てゆうかさっきどす黒い邪気を纏ったとか言ってたじゃん、あれは何だっ
   たの!?
(師匠):まぁ…今思えば乗りで言っちゃったって言うか…。
   (弟子):乗りかよ!
(師匠):いや、お前の顔色も悪かったし、目にくまもあったからそれかもしれない。
   (弟子):何だよ!何の事言ってんのかなってこっちが内心びっくりしてたよ!一人
   も殺してねーよとか思って!!
(師匠):ああごめん。
   (弟子):もうちょっといいから早く奥義教えろよーーーーー!!!!
(師匠):いや無理だって、そんな体じゃ危ないから逆に、膝とか…。
   (弟子):もう良いよ俺の体の事は!
(師匠):覚えられたとしても、多分10分の1も威力でないと思うから…それだったら知ってる技の方がまだ良いって。
   (弟子):それでもいいからとりあえず奥義教えろよっ!
(師匠):だから意味無いよそれじゃあ!お前奥義っていう言葉に憧れてるだけだろ!
   (弟子):…そんな事ねーよ。
(師匠):お前なんでそのヒヒオって奴と戦いたいの?
   (弟子):政府から依頼があったんだよ、倒せば大金が入る…。
(師匠):金か…?
   (弟子):ああ、俺結婚するんだ…。
(師匠):え!?おおそうか!それは良かったな!お前が結婚か!
   (弟子):だから金がいるんだよ…ヒヒオに勝ちたい…勝つ為には奥義が絶対に
   必要なんだよ!!
(師匠):今のボロボロの体のお前じゃ無理だ!まず奥義を会得する事も無理だし、ヒヒオの手下にすら殺される…。
   (弟子):じゃあどうすれば良いんだよ!
(師匠):半年あればなんとか伝授出来て、身体能力もある程度戻せると思うから少し時間をくれないか?
   (弟子):半年?半年か…それだけあれば本当に奥義が覚えられるんだな?
(師匠):昔の様な直向きさがあればじゃが…。
   (弟子):分かった…じゃあ宜しく…頼む。
(師匠):ああ…。



                 半年後



   (弟子):よし、無事奥義も覚えられたし、これから出発する。
(師匠):ああ、気をつけろよ…。
   (弟子):まぁなんかこうゆう事言うの恥ずかしいけど、まぁなんだろ…その…あ
   の…色々と…お、お世話になりました!(恥ずかし気に)
(師匠):…ああ…愛弟子よ…行ってこい!行って、ヒヒオを倒して来い!
   (弟子):…はいっ!!
(師匠):あ、おい靴紐が解けてるぞ。
   (弟子):ああほんとだ、大事な出発前だってのにいっけね。(靴紐を結ぶ)
(師匠):(何気なく朝刊を読む)…ん?…おい…ちょっと。

   (弟子):何すか?
(師匠):お前が倒す奴って…ヒヒオマコゾウだよな?
   (弟子):そうだよ。
(師匠):昨晩、オレオレ詐欺で捕まったらしいぞ。
   (弟子):え…?うそ…。