オリジナルコントのブログ

オリジナルコントの脚本

コント:法律相談


ボケ:三段落下がる行 ツッコミ:通常の段落の行 ()内は役、動き、擬音の表現   


設定:包帯を巻いた男が法律事務所へ入る。


   ボケ(相談者):(コンコン♪)
ツッコミ(弁護士):はい…。
   (相談者):あのこちら服部法律相談事務所でよろしいでしょうか?
(弁護士):はいそうですが。

   (相談者):はぁ…良かった…。
(弁護士):どうされました?
   (相談者):先生!お願いします!私をどうか!どうか助けて下さい!!
(弁護士):は、はい…えっと…どうされましたか?
   (相談者):見て下さいこの怪我(顔の包帯を取る)
(弁護士):ああ…ひどい痣ですね…包帯は少し気になってましたけど…大丈夫ですか?
   (相談者):いえ、顔だけじゃなく腕も足もとても…痛いです…。
(弁護士):どうされたんですか…事故ですか?
   (相談者):いえ…昨晩ある人に…やられたんです…。
(弁護士):それはつまり暴力を振るわれたという事ですか?
   (相談者):はい…。

(弁護士):では今回はその件での法的なご相談という事でしょうか?
   (相談者):はい…。
(弁護士):どなたにやられたんですか?
   (相談者):それが…分からないんです…。
(弁護士):というと街などで突然知らない人から暴行を受けたという事でしょうか?
   (相談者):いえ…街ではなく、自分の自宅というか…。
(弁護士):ご自宅ですか!?
   (相談者):はい、まぁ強盗みたいな感じです。
(弁護士):という事は泥棒が強盗目的で家に侵入して来てその際に殴られたということでしょうか?
   (相談者):まぁ…はい…そんな所です。

(弁護士):そうでしたか…それで警察にはもう通報したんですか?
   (相談者):いえ…。
(弁護士):まだ!?まだ通報してないんですか!?
   (相談者):はい、刑事事件にかけては日本一と名高い服部先生に是非相談してから
   と…。
(弁護士):…分かりました、では通報はお話を伺ってからにしましょう。
   (相談者):有難う御座います。
(弁護士):で、何を取られたんですか?
   (相談者):…えっと…看板です。
(弁護士):ん?
   (相談者):看板です…。
(弁護士):看板?
   (相談者):はい。
(弁護士):広告に使うあの看板ですか?
   (相談者):はい。
(弁護士):…あの何か貴重な骨董品か何かだったんでしょうか?
   (相談者):いえ、私が自分で木の板に筆で書いて作ったものですから。
(弁護士):はあ…。
   (相談者):私、家で自営業をしているもので…。
(弁護士):そのお店の看板ですか?
   (相談者):はい。
(弁護士):ちなみに家で飲食店か何か経営されてるんでしょうか?
   (相談者):いえ、飲食店では無いです。
(弁護士):では何を経営されてるんですか?
   (相談者):…言わなきゃ駄目ですかね?
(弁護士):まぁ出来れば、裁判になった際には必要な情報ですので…。
   (相談者):そうですか、まぁえっと…道場ですね。
(弁護士):道場?
   (相談者):はい…。
(弁護士):何の道場ですか?
   (相談者):まぁえっと…空手の…道場です…。
(弁護士):空手の道場?
   (相談者):はい…。
(弁護士):空手の道場の看板を取られたんですか?
   (相談者):はい…。

(弁護士):え、どうやって取られたんですか?
   (相談者):まぁえっと…戦って…。
(弁護士):戦って?え?犯人が何か武器を所持していて、それで空手で応戦したという事
ですか?
   (相談者):いえお互い素手でした…。
(弁護士):…なら空手で戦ったという事ですか?
   (相談者):まぁ私は空手で、向こうは総合格闘技みたいな感じの流派でした。
(弁護士):はぁ…じゃあ突然襲われたんじゃないんですか?
   (相談者):はい…目潰しと金的は無しでみたいなルールは決めてました。
(弁護士):え?それはまぁなんていうか、ちょっと素人なんで解らないんですけど、もしかして空手での決闘といいますか、立ち会いみたいな感じなんですか?
   (相談者):まぁ…一般的に言うとそうですね…。
(弁護士):道場の看板をかけた?
   (相談者):はい…。
(弁護士):え!?…じゃあ何かすいません、思ってた感じと違うんですけど…盗まれた看板に関しては、その立ち会う前に何か取り決めをしていたんですか?
   (相談者):あはい、私が負けたら、ここの道場の看板は貰っていくと言われてまし
   た。
(弁護士):えっ!?そういう取り決めがあったんですかっ!?…それなら大分話が違ってきますけど、それで貴方はなんて言ったんですか?
   (相談者):それで構わないと言いました。
(弁護士):ええ゛っ!!
   (相談者):それで私が負けて、犯人は約束通り看板は貰って行くと言って…。
(弁護士):それで持っていかれたんですか?
   (相談者):いえ、重いからってその場で叩き折られました。
(弁護士):ええ゛…悲惨というかなんというか、そんな話初めて聞きましたよ…。
   (相談者):こんな…こんな体も心も道場も再起不能にされてこれからどうやって生
   きていけば良いのか…。
(弁護士):因みに怪我か何かされていたのに無理やり戦わされたって事は無いですか?
   (相談者):犯人は分かりませんが、私は万全でした。

(弁護士):そうですか……例えば相手側がルールを破って来たとかは有りますか?
   (相談者):いえ…。
(弁護士):ん゛~…いや何か思ってた感じとやっぱり全然違いますね……。
   (相談者):え!?何がですか!?酷い話ですよね先生っ!!!
(弁護士):いやまぁ酷いのは酷い話なんですけどね…。
   (相談者):慰謝料とかはいくら位取そうですか?
(弁護士):いや~お互い合意の上でとなるとちょっと厳しいかもしれませんよね。
   (相談者):なんで!?どうしてですか!?私は被害者ですよ!お願いします先
   生!!私に代わって犯人に、法の鉄槌を加えて下さい!!!
(弁護士):まぁでもまだ通報もされてないのであれば、まず犯人を捕まえなくちゃいけませんよね…犯人に心当たりとかは無いんですか?

   (相談者):えっと犯人に殴られてから記憶がかなり曖昧だったんですけど…今先生
   に話すうちに、なんとなくぼんやりと思い出して来ました。
(弁護士):そうですか!?心当たりがあれば私からも警察にお話しますよ。
   (相談者):えっと…あれ…確かあいつは…見たことある…えっと…誰だっけ?あい
   つ…。
(弁護士):え!?知ってる人なんですか?
   (相談者):はい…あいつは…確か…えっと学校?…そうだ!学校で見た覚えがある
   ぞ!
(弁護士):学校?
   (相談者):はい、娘が通ってる学校で見た記憶があります。

(弁護士):もしかして体育教員ですか?いやレスリング部とかのコーチとか?それとも武道の師範とか?
   (相談者):いや…えっと確か…ん?1-Aって書いてます。
(弁護士):え!?そんなサイコメトラーみたいに今犯人の映像が浮かんでるんですか!?
   (相談者):はい…少しづつ記憶が蘇って来てます。
(弁護士):の1-Aって言うのはどこに書いてありますか?
   (相談者):胸に…。
(弁護士):胸?
   (相談者):はい…体育着に書いてます。
(弁護士):体育着!?生徒なんですか!?

   (相談者):は…い…ああああ…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
   ―――――!!!!!!
(弁護士):どうしました!!??
   (相談者):た、体育着に…名前が…書いてある…はぁ…はぁ…はぁ…あ゛  
   ―――――!!!!
(弁護士):記憶喪失が戻る時ってこんな感じなの!?ちょっと大丈夫ですか!?
   (相談者):あ゛あ゛――――!!!名前がーーーーー!!!服部先生
   ―――――!!!!
(弁護士):はい!いますよここに!大丈夫ですか!?その名前今読めますか!?
   (相談者):い…イノクマ…シズカ…そうだ!!思い出した!!!犯人は近所に住ん
   でる娘の同級生のシズカちゃんだ!久しぶりだったから分からなかったんだ!…は
   ぁ…はぁ…はぁ…よし!…よし!犯人を思い出したぞ!!これで慰謝料が取れ
   る!!!
(弁護士):あの…その娘さんって何歳なんですか?
   (相談者):今中1ですけど。
(弁護士):やっぱり裁判止めときましょう!!!




終わり。