オリジナルコントのブログ

オリジナルコントの脚本

コント 留学


  ボケ:三段落下がる行 ツッコミ:通常の段落の行 ()内は動き、擬音の表現


  舞台、設定:会社のオフィスで部長と部下が向かい合っている。

   部下(ボケ):部長、ただいま戻りました!
部長(ツッコミ):坂本君…3年間ご苦労だったね…。
   いえ…会社のお金で3年間もアメリカへ留学させて頂き、本当にありがとう御座い
   ます!

いやいやそれも君が優秀で、社内の選抜試験でたった5名しか無い枠に見事に選ばれたからだよ!
   とんでもないです!部長からの推薦にも本当に感謝してます!
我が社も日本最大手と言っても、年々保険業界は競争が激しくなっているからな…君にはアメリカで学んだ経営戦略を存分に発揮してもらいたい物だ…。

   はいっ!
それで帰国後そうそうで疲れている所申し訳ないんだが…早速副社長から直々に打診があってだな…社内に新たに経営戦略室を創設し、今回帰国した5名をそのトップに据えたいと言う話がある…。


   え!?…そんな話が…。
これだけ時代の波が早いと、世代によって考え方にもかなり差があってな…これからは君達のような若い世代がこの会社を引っ張っていくんだ!
   はい!
そして坂本…お前にはうちの部を代表してその経営戦略室の中でもよりトップに上り詰め、我社の経営の中枢に入ってもらいたいと私は願っている…勿論引き受けてくれるな?

   いえ…。
…ん?…今いえって言ったのか?
   はい…。
…あそうか、アメリカ人っぽくイェイ!って言ったのか?さすが留学後だな、でもここはもう日本なんだぞ…。
   いやそうじゃなくて、いえです…。
…ん?いえってどうゆう意味だ?
   あの部長…。
なんだ?
   そのお話なんですが…。
…ん?何だ?
   その…大変心苦しいのですが…。
え…?何…?
   辞退させて頂けないでしょうか?
ん?え…?今なんて言った?
   この度の経営戦略室着任のお話しを、辞退させて頂けないでしょうか?
は?…え?…ああ!なんだ、さっき俺が言った経営戦略室の中でもさらにトップの中枢に入れっていう話か?あれか?何かプレッシャーだったか?

   いえ…。
ん…?
   そうではなく、経営戦略室着任自体をご辞退させて頂きたいのです。
は?…お前今、自分が何言ってるのか分かってるのか?留学から帰ってきた者は戦略室に入ってもらわないと、俺としても副社長に示しがつかないじゃないか…。
   と言いますかあの…この会社自体を…退職させて下さい!
…何急に?ちょっと待って…え?怖い怖い…何?どうゆう事?急にどうしちゃったの?
   本当に申し訳ございません!

さっきはい!とかって元気に言ってたじゃん!?
   すいません…。
留学の費用だって全部会社が払ったんだよね?それで戻って来てすぐに会社辞めるって言うの!?
   はい…。
な、なんだ?なんか留学先で嫌な事でもあったのか?
   いえ…そうゆう訳では…。
じゃああれか?最新の経営戦略を学んで別に何か他にやりたい事とかが出来たのか?
   はい…。
え?今…はいって言ったのか?おい!うそだろ?冗談だよな!?
   いえ本気です…とにかく部長、聞いて下さい!
分かった、話せ…。
   留学中、私はアメリカの様々な州に行きました…。

まぁそうだろうな…。
   経済力、軍事力、共に世界一と言われるアメリカですが…その実情は貧富の差がと
   ても激しく、街中にも沢山ホームレスがいたり、不衛生なスラム街も何度も見て来
   ました…。

まぁ良い事ではないが、そうゆう部分もアメリカには確かにあるな…。
   それでもそんな場所で、私は瞳をキラキラと輝かせる、無邪気な子ども達に出会っ
   たんです!

おお!そ、そうか…それで?
   この子達の未来は可能性に満ちている…一刻も早くこんな不衛生で劣悪な環境から
   抜け出して、まず学校に通わせなければ行けない…私はそう思いました…。
うん…。
   そしてある日、私の人生を変える様な転機が訪れました…。
どうしたんだ!?
   デトロイトにあるバーに夜中一人で行った際に、ナイフを持った5人のギャングの
   様な男達に、突如囲まれてしまい、金を渡すように脅されたんです。

え!?うそ!?なんか急な展開だな!?留学中そんな事が会ったのか!?
   私はあまりの恐怖で動けなくなってしまい、すぐに財布を取られてしまいました。

まぁそうゆう場合は仕方がない、むしろ逆に渡した方がいいくらいだよ。
   しかしすきを見て「せめてカード類はだけは返してくれ」と言った瞬間、ギャング
   の一人に後ろから殴られてしまい、その衝撃で私は床に倒れ込みました…。

え!?それ大丈夫だったのか!?それで!?
   せっかく財布を渡したのに、このままボコボコにされるのかと思い…死ぬ事すら覚
   悟したその瞬間、突然黒いスーツを着た男が現れ、ものの数秒でギャング達を全員
   殴り倒してしまったんです…。

え!?ほんとに!?なんだそいつは!?凄いじゃないか!?
   その男は立てるかと私に聞き、私を起こしてくれました…。
うん…。
   私を店の外まで連れ出してから、その直後に倒れているギャング5人全員を持って
   いた銃で撃ち殺しました…。 

ええ!?撃ち殺したの!?なんで!?
   …実はその男は、アメリカ有数のマフィアの幹部だったのです…。
マフィアの幹部…!?。
   私はそのあまりの光景に胸を打たれ、その日から今までずっと、もやもやしてた気
   持ちがあったのですが、今はっきりと自分の歩むべき道が分かりました…部長!私
   はこの会社をやめて、アメリカ1のマフィアのボスになります!!!

…えぇ!?マフィアのボス!?は!?ちょっと急でついて行けない、何でそうなるの!?
   申し訳ありません!
いや申し訳ありませんじゃなくて、え!?今まで黙ってずっと聞いてたけど…いろいろ考えたよ俺も、貧困地域とか出てきたからNGOを立ち上げるのかなとか、子供が出てきたから学校作るのかなとか、劣悪な環境とか言ってたから、やっぱり清掃業なのかなとか思ったけど、え!?マフィア!?なんで!?

   そうです!マフィアです!!
そうですってさ…保険業界と真逆の世界だよ!?
   部長!マフィアは何よりも仲間であるファミリーを大切にするんです!保険業界と
   似てますよ!!
似てないよ!しかもそんなの日本にいても映画とか見れば何となく分かるじゃん!?そうじゃなくてマフィアって何するか本当に分かってる!?大丈夫!?
   バーで助けてくれたマフィアの連絡先も知ってるんで、とりあえず現地に行って、
   生でマフィアの仕事をこの目で見てみたいと思います!
そんなインターンじゃないんだからさ!生でマフィアの仕事を見るって凄い事なんだよ?
入ってから「やっぱなんかイメージと違ってました」とか言ってももう遅いんだよ!?

   私はデトロイトで会った、あのマフィアの様になりたいんです!
君ボスになりたいって言ってたじゃん!そのマフィアもう超えてんじゃん!…いや確かに格好良かったのかもしれないけどさ…。
   生まれて初めてああこんな風になりたいって思ったんです!
でも、留学先からの報告だとお前はMBAの取得も最短で、非常に優秀だったって聞いてたよ!?もったいないよ!

   はい…ですので留学先で学んだ事は全てマフィアで活かしたいと思います!
えぇ…?絶対ダメだよそんな事言っちゃ…インテリヤクザの次元を超えてるよ!?
   ヤクザじゃなくてマフィアです!
うるさい!もうそれ聞いたら尚更、話変わってくるって言うか、行かせられないよ!
   あの…これ…辞表です…。

いや、それは受け取れない…君は保険会社の人間だぞ!「マフィアになる」なんて言われ
て、「はいそうですか」なんて部長として言える訳無いだろ!
   止めないで下さい部長!私はアメリカ1のマフィアになるんです!
日本の恥だよ!これだけ言っても行くつもりなら警察に通報してやるぞ!マフィアの幹部
の連絡先も警察に渡しなさい!
   ミラーノパッショーネさんの連絡先は渡しません!
何がミラーノパッショーネだ!イタリア系じゃないか!

   私はマフィアになります!なって密造酒作って、ショバ代取って抗争に明け暮れる
   んです!
いつの時代のマフィアだ!そんなかっこいいだけの世界じゃないんだよ!

   待ち合わせ相手が5分遅れただけで、撃ち殺してやります!
最近マフィア映画何本か見たのか!?てゆうかお前なんだ?人を殺したい願望とかある奴なのか!?
   警察に賄賂掴ませて、アメリカを裏社会から牛耳ってやりたいんです!

なんかエリートが映画見て憧れてるだけの気がするな…それならお前、麻薬も売るのか?
   え…!?
マフィアになれば世界中で多くの人を苦しめてる麻薬を売る機会だって必ず出てくるぞ!
   そんな…。

当たり前じゃないか!君が会ったマフィアも恐らく売ってるはずだ!
   そんな…パッショーネさんは売ってませんよ!
そいつの事何も知らないだろ!
   そんな…そんな…。
どうだ?…自分が進もうとしてる道が間違ってる事がやっと分かったか…?
   実は学生時代…アヘンの依存症になった友人がいて…私は麻薬だけは絶対に許せな
   い…。
お前だけいつの時代を生きてるんだよ!…そうか…まぁでも分かってくれてよかったよ…。
   き、決めました!私麻薬撲滅の為に、今からFBIに入ります!
もういいからここにいて!!!                       




終わり。