オリジナルコントのブログ

オリジナルコントの脚本

日々思うこと①

死刑制度について
 
 日本には死刑制度がある、この死刑制度があるという事実は日本のこれまで歩んできた歴史が背景になっている為、その是非を世界各国と比べる事は出来ないと私は考える。
 歴史という物はそれだけ重宝すべきものなのかという疑問が湧く人もいるかも知れない。
 個人個人が歴史を無視して新しい事をやろうとするのは勝手であるが、やはり国家を司る政治に関しては別であろう、その時どんなに魅力的で斬新な制度であっても歴史的に、同じ様な政策が無かったかなど、結果を見比べる作業は必須であると思う。
 また海外では上手く行った事も、日本の国民性に合うかといった問題もある為それをそのまま日本に当てはめれば上手く行くとは到底思えない。
 国民性を醸成させる物は何かというと、例えば気候という物が挙げられる。
 日本の様に海に囲まれている島国で、四季があり、雨も多く山や川や温泉などの水資源が豊富にある国と、中東地域のように隣国と陸続きで、砂漠地帯が多い地域で同じ国民性の訳がない。
 心理学によると人は水が流れる様子を見るだけでもストレス値が低くなるらしい。
 また、中東地域では未だに男尊女卑と思える国々が多いがこれも砂漠を旅する場合、多様な意見があれば話し合うだけで時間を浪費してしまい、全員が死んでしまう。
 よって何があってもリーダーの意見になるべく全員が従うような国民性、民族性が生まれた側面がある様だ。
 また人種間によってIQが変わるなどの調査結果もあるが、この場合人間自体は変わらないと仮定しても住む地域の気候によって人間は変わり、その人間が集まった人種によって国家は形成される為、国民性と言われるものは気候よって醸成されるのである。
 先進国と後進国の違いは、国民の違いであるが、その国民の違いとは、歴史的に大陸の形や、機構によって農業が発展してきたかどうかでしか無いのである。
 そしてその国民性を映し出す物がその国の歴史なのでありまたその歴史がその国の法を作っていくのだと私は思う。
 政策の信憑性は歴史で説明出来るのであり、歴史や伝統を無視した失敗例の代表がまさに社会主義国家である。
 しかし社会主義の精神は大変重要であり、たとえ資本主義の国であっても取り入れられるべきであると考える。


 死刑制度について話を戻すと、私は死刑制度についての議論をするには被害当事者の意見を聞くのがやはり一番であると思う。
 結論から言えば、仮に大切な人が殺された遺族の殆どが自分たちの為に死刑制度を反対というのなら、やめればいいと思う。
 しかしその様な話は殆ど聞かない。
 それは、被害者遺族から見て、被害者が殺される動機、被害の状況、犯罪の手口などを考慮して、人として到底理解出来ないからではないだろうか?
 なぜこんな事をしたのか、出来るのか、普通の感覚から見て理解が出来ない。
 また理解出来ないからこそ、憎悪も膨らむともとれる。
 もし死刑制度が無ければ膨らんだ憎悪は、一体どこに向かえば良いのか。
 犯罪者が死ぬ事は、遺族にとって一つの通過点に過ぎないのである。まずそこを通過しない事には話にならない。犯罪者が人の命を奪ったのだから、遺族からしたら、犯罪者の命などでは何も改善されないが、犯罪者がこの世界で生きてる、また刑務所からいずれ出所してくる可能性がある、それだけでそれは、筆舌に尽くせない苦しみなのだ。


 日本ではたとえ犯罪者であっても、即座に警察が撃ち殺す様な事はしない。しっかりと裁判を犯罪者に弁護士付きで受けさせる、各国と比べるのであればむしろその部分だろう。
 死刑制度反対者は死刑が執行されても遺族は救われない、むしろ許すことで遺族は救われると言うが、自分が同じ立場に立ってから言ってもらいたいと思う位にその感覚は特に日本において受け入れられていない。冷徹とさえ私は思う。
 日本の死刑の基準は世界と比べても本当に厳しいと思う、一人ならいかに残忍に、また身勝手に殺そうが反省した態度を取ればまず死刑にはならない。
 人の命の重さという事ではなく、これは社会契約説の観点から言っておかしい。
 その国の国民は本来誰かに理不尽に攻撃をされた場合、報復する権利を持っているのであるが、それでは社会が混乱してしまうので、そういった自然権を一時的に社会に預けているというのが社会契約説である。
 故に国家には残忍な方法で身勝手に多くの人を殺してしまった人間がいる場合、死刑にしてもらわなければいけないと考えるのである。
 更生の可能性の観点から死刑を反対する人もいるが、この世に更生の可能性が無い犯罪者などいるのであろうか。いやいない、全ての犯罪者に生きている限り、更生の可能性はある。しかし、死刑というのはその更生する可能性や機会すら奪うという程の重い刑なのである。
 要は心を入れ替えてこれからどれだけ反省してもそれでも償えない事をしてしまったんだよという事が死刑なのだと私は思う。
 正直死刑の真の恐ろしさは、受刑者本人にしか分からないと思う。
 毎日狭い拘置所で、死刑になる順番を待つ。自分の番じゃなくても刑務官の足音だけで立っていられなくなるくらいの恐怖だろう。想像するだけでゾットする。


 人は解答を求める動物だ、過去に解を求め、未来に解を求め、これで良いのかと常に人生に意味を求めている。
 人は必ず死ぬ、人生で決まってる解はこれくらいなのではないだろうか。
 その答えを追求していけば、いづれいつか死ぬのであれば私は今死んだら良いとなってしまう。
だからこそ、犯罪さえ侵さなければ、どんな人生であっても意味があり、素晴らしいのだとも私は思う。


 人生犯罪さえしなければ、例え人の役に立てなくても、どんな生き方でも私は良いと思う。
生き延びている限り人は必ず誰かの役に立てる時が必ず来る。
 むしろ、他人の役に立つ事に注力し過ぎてしまうと、その為に身を滅ぼす事もにもなりかねない、国家の侵略戦争や、組織ぐるみの犯罪、隠蔽工作などがそれである。
 その際には一番役に立った人間から消される。


 死刑というのは判決が決まってから、まさに刑が執行されるまで、続くのである。
 自分は死ぬ事で初めて人の役に立つ、狭い独房で刑を恐れながら死を待つこの状態を世間様が見て、日々の生活に活されたり、犯罪の抑止力になるのだと思う。
 ドイツ語ではシャーデンフロイデと言うらしいが、組織などで自分じゃ無い誰かが上司や先生に怒られているのを見た時に感じるあの感覚なんだろう。

コント:奥義伝授


  ボケ:三段落下がる行 ツッコミ:通常の段落の行 ()内は動き、擬音の表現


   ボケ(弟子):久しぶりだなハクリュウサイ…。
ツッコミ(師匠):ふん、お前か…久しく見ぬうちに随分とどす黒い邪気を纏う様になったの…。

   (弟子):たった一人の愛弟子に随分じゃねーか…。
(師匠):して…何用じゃ?
   (弟子):ハクリュウ寺に代々伝わる奥義を頂きに来た。
(師匠):ふん、どうせそんな所だろうと思っておったわ…貴様の邪気で山が汚れておる事
は昨夜から気づいておった…。
   (弟子):なら話が早ぇ、秘伝奥義が書かれた文書をよこせっ!

(師匠):ふん…奥義は文書などに書かれとらんわっ!奥義は師匠がたった一人にだけ、その時代の卓越した才能と人格を携えた愛弟子に直接教え込むのみでしか習得できんわ!!
   (弟子):そうか…ならさっさと教えろ…。
(師匠):なぜだ?10年前奥義は伝えられなかったが、あの時20歳でこの山を降ったお前の実力なら、もはや奥義は必要無かろう…。
   (弟子):ふん、だから山に籠もってばっかじゃ何も得られないんだ…。

(師匠):何じゃと!
   (弟子):ハクリュウ寺がいつまでもトップでいられると思うな、都は今まさ    
   しく血で血を洗う戦国時代さ…やはり10年前山を降りたのは正解だった様だ…。

(師匠):貴様っ!…わしが鍛え込んやったその技で…一体何人殺めた!!
   (弟子):さあな…。
(師匠):確かに10年前のお前には100年に一人の武の才能を見た…そして透き通る様な純真な目でお前は、家を焼かれ、親を失った子ども達の為に山を下り都へ行くと言った…今思えばあの時やはり止めるんだった…もはや分かっておると思うが、今のお前にはハクリュウ寺奥義を伝授する事はまかりならんっ!!!
   (弟子):ふ~…ならやはり…力ずくで聞き出すしかないか…頑固さは10年経って  
   も変わらねーな…。
(師匠):6代目ハクリュウサイ最後仕事として例え殺されようと、いや刺し違えてでも貴様の目を覚ませてやるわっ!!!はーーーーーーーーーーっ!!!!!(構える)
   (弟子):ハクリュウサイ、10年間山に籠もっていたお前は俺が都で何をしていた  
   か、やはり想像もつかなかった様だな…山を降りたあの時点でさえ俺は貴様を超えて
   いたのだ…。(独特な構えをする)
(師匠):ぐっ…なんじゃあの構えは…こやつどれだけ腕を上げたのじゃ…。
   (弟子):俺がどれだけ強くなったのかすらもはや想像もつくまい!!
(師匠):えぇい!能書きはもういい!さぁかかって来い!!
   (弟子):はぁーーーーーーーーーー!!!!!!!(走ってハクリュウサイに技を
   仕掛ける)
(師匠):あ゛わ゛っ!(急に走って来られたから、顔を伏せてとっさに手を出す)
   (弟子):(ハクリュウサイの手がたまたま顎に当たり倒れる)
(師匠):ん?…ん゛?…え?…何?あた?あたったの…?手が?…顎に?…。
   (弟子):………うわっ!あ゛ー!びっくりしたー!(目を覚まし起き上がる)
(師匠):ん?大丈夫か?
   (弟子):………うわ!もうまぐれきついわーじじいよ!出会い頭のカウンター
   か!?
(師匠):…。
   (弟子):ハクリュウサイっ!もう偶然は無い!今のチャンスで俺を仕留められなか
   った事を後悔しろっ!!
(師匠):やはりラッキーパンチだったか…ぐっ…こ、来いっ!!!
   (弟子):はーーーーーーーーっ!!!!!!(走ってハクリュウサイに技を仕掛け
   る)
(師匠):わ゛ぁ!!(再び顔を伏せてとっさに手を出す)
   (弟子):(再度ハクリュウサイの手が顎に当たり倒れる)
(師匠):あれ?…また倒れた…。
   (弟子):………うわっ!!はぁ…はぁ…はぁ…あれ?なんで俺ハクリュウ寺にいる
   の…?(軽く記憶喪失になる)
(師匠):えーーーーーーーーっ!!!!!うそっ!?こいつ10年より弱くなってるっ!!??
   (弟子):あ、そうだ、奥義を奪いに来たんだった…。
(師匠):ちょっと今脳震盪起こして記憶喪失になりかかってたし…。
   (弟子):あっ!ハクリュウサイ…おい、奥義をよこせ…。
(師匠):うん、それでわしが断って戦う事になったよね?
   (弟子):ん?あそうか思い出した、ハクリュウサイっ!!!くらえっーー 
   ー!!!!!
(師匠):はっ!(再度手を出す)
   (弟子):(再度ハクリュウサイの手が顎に当たり倒れる)
(師匠):うわっ!やっぱりこいつ確実に弱くなってる!!うそ…なんで…?
   (弟子):あ゛っ!何された、俺!?俺に何した今っ!!!???(起き上がる)
(師匠):いや普通にパンチしただけだけど…。
   (弟子):ああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ――――――――――!!!!!(再
   びやけぎみに走ってハクリュウサイに技を仕掛ける)
(師匠):はっ!(再度手を出す)
   (弟子):(再度ハクリュウサイの手が顎に当たり倒れる)
(師匠):弱っ!!!何こいつ…え…?都で何やってたの…?
   (弟子):あっ!(目を覚ます)……ちくしょーーーーーーーーー
   ー!!!!!!!!!!!…なんでだ!?…10年前ハクリュウサイとは最低でも互
   角だったはず…なんで!?俺こんな弱くなっちゃったの…?
(師匠):…お前登山口からここまで来るのにどんだけかかった?
   (弟子):え?3日位だけど…。
(師匠):10年前は6時間位で登ってたぞ…。
   (弟子):ええ!?…うそ?そうだったっけ?
(師匠):よく分かんないけど足腰は確実に弱くなってるな…。
   (弟子):ああ゛っ!!5年位サラリーマンやってたからかーーー!!??

(師匠):サラリーマン?え?いつまでやってたの?
   (弟子):半年前まで…。
(師匠):半年前まで!?
   (弟子):確かにあの時接待とか宴会とかいろいろあって、プリン体とかまぁタバコ
   も吸ってたし、ほとんど寝てなかったから…。えーーっ!!??でも俺100年に一
   人なんでしょ!?そんな5年位で…マジか!?…嘘でしょ!?
(師匠):まぁほら年齢的な事ももしかしたら…。
   (弟子):30で?
(師匠):割とほらお前早熟だったから…。
   (弟子):ピークが早く過ぎたとか?
(師匠):まぁ…わかんないけど…。
   え?じゃあ奥義は?
(師匠):多分教えても体力的に無理だよ思う…。
   (弟子):うそーーっ!!え!?でもブランクとかってさ!才能ある奴はあんまり関      
   係ないんじゃないの?たっちゃんみたいに…。
(師匠):まぁわっかんないけど…。
   (弟子):酒だってさ、よく仙人とかがぶがぶ飲んでんじゃん!
(師匠):まあ酔拳系の人は飲んでるけど…。

(師匠):でも会社の健康診断とか引っかかったりしなかったのか?
   (弟子):怖くて行ってないんだよ。
(師匠):行った方が良いよそれ、なんかちょっと顔色悪いし…。
   (弟子):そう…?
(師匠):あとさ、なんで奥義習得したいの?
   (弟子):…実はヒヒオマコゾウっていうテロリストと戦わなくちゃいけないんだ
   よ…奥義なきゃぜってー勝てねーし…ぜってーボコされるし…。
(師匠):ヒヒオか…噂では聞いていたが…。
   (弟子):てゆうかさっきどす黒い邪気を纏ったとか言ってたじゃん、あれは何だっ
   たの!?
(師匠):まぁ…今思えば乗りで言っちゃったって言うか…。
   (弟子):乗りかよ!
(師匠):いや、お前の顔色も悪かったし、目にくまもあったからそれかもしれない。
   (弟子):何だよ!何の事言ってんのかなってこっちが内心びっくりしてたよ!一人
   も殺してねーよとか思って!!
(師匠):ああごめん。
   (弟子):もうちょっといいから早く奥義教えろよーーーーー!!!!
(師匠):いや無理だって、そんな体じゃ危ないから逆に、膝とか…。
   (弟子):もう良いよ俺の体の事は!
(師匠):覚えられたとしても、多分10分の1も威力でないと思うから…それだったら知ってる技の方がまだ良いって。
   (弟子):それでもいいからとりあえず奥義教えろよっ!
(師匠):だから意味無いよそれじゃあ!お前奥義っていう言葉に憧れてるだけだろ!
   (弟子):…そんな事ねーよ。
(師匠):お前なんでそのヒヒオって奴と戦いたいの?
   (弟子):政府から依頼があったんだよ、倒せば大金が入る…。
(師匠):金か…?
   (弟子):ああ、俺結婚するんだ…。
(師匠):え!?おおそうか!それは良かったな!お前が結婚か!
   (弟子):だから金がいるんだよ…ヒヒオに勝ちたい…勝つ為には奥義が絶対に
   必要なんだよ!!
(師匠):今のボロボロの体のお前じゃ無理だ!まず奥義を会得する事も無理だし、ヒヒオの手下にすら殺される…。
   (弟子):じゃあどうすれば良いんだよ!
(師匠):半年あればなんとか伝授出来て、身体能力もある程度戻せると思うから少し時間をくれないか?
   (弟子):半年?半年か…それだけあれば本当に奥義が覚えられるんだな?
(師匠):昔の様な直向きさがあればじゃが…。
   (弟子):分かった…じゃあ宜しく…頼む。
(師匠):ああ…。



                 半年後



   (弟子):よし、無事奥義も覚えられたし、これから出発する。
(師匠):ああ、気をつけろよ…。
   (弟子):まぁなんかこうゆう事言うの恥ずかしいけど、まぁなんだろ…その…あ
   の…色々と…お、お世話になりました!(恥ずかし気に)
(師匠):…ああ…愛弟子よ…行ってこい!行って、ヒヒオを倒して来い!
   (弟子):…はいっ!!
(師匠):あ、おい靴紐が解けてるぞ。
   (弟子):ああほんとだ、大事な出発前だってのにいっけね。(靴紐を結ぶ)
(師匠):(何気なく朝刊を読む)…ん?…おい…ちょっと。

   (弟子):何すか?
(師匠):お前が倒す奴って…ヒヒオマコゾウだよな?
   (弟子):そうだよ。
(師匠):昨晩、オレオレ詐欺で捕まったらしいぞ。
   (弟子):え…?うそ…。

コント:法律相談


ボケ:三段落下がる行 ツッコミ:通常の段落の行 ()内は役、動き、擬音の表現   


設定:包帯を巻いた男が法律事務所へ入る。


   ボケ(相談者):(コンコン♪)
ツッコミ(弁護士):はい…。
   (相談者):あのこちら服部法律相談事務所でよろしいでしょうか?
(弁護士):はいそうですが。

   (相談者):はぁ…良かった…。
(弁護士):どうされました?
   (相談者):先生!お願いします!私をどうか!どうか助けて下さい!!
(弁護士):は、はい…えっと…どうされましたか?
   (相談者):見て下さいこの怪我(顔の包帯を取る)
(弁護士):ああ…ひどい痣ですね…包帯は少し気になってましたけど…大丈夫ですか?
   (相談者):いえ、顔だけじゃなく腕も足もとても…痛いです…。
(弁護士):どうされたんですか…事故ですか?
   (相談者):いえ…昨晩ある人に…やられたんです…。
(弁護士):それはつまり暴力を振るわれたという事ですか?
   (相談者):はい…。

(弁護士):では今回はその件での法的なご相談という事でしょうか?
   (相談者):はい…。
(弁護士):どなたにやられたんですか?
   (相談者):それが…分からないんです…。
(弁護士):というと街などで突然知らない人から暴行を受けたという事でしょうか?
   (相談者):いえ…街ではなく、自分の自宅というか…。
(弁護士):ご自宅ですか!?
   (相談者):はい、まぁ強盗みたいな感じです。
(弁護士):という事は泥棒が強盗目的で家に侵入して来てその際に殴られたということでしょうか?
   (相談者):まぁ…はい…そんな所です。

(弁護士):そうでしたか…それで警察にはもう通報したんですか?
   (相談者):いえ…。
(弁護士):まだ!?まだ通報してないんですか!?
   (相談者):はい、刑事事件にかけては日本一と名高い服部先生に是非相談してから
   と…。
(弁護士):…分かりました、では通報はお話を伺ってからにしましょう。
   (相談者):有難う御座います。
(弁護士):で、何を取られたんですか?
   (相談者):…えっと…看板です。
(弁護士):ん?
   (相談者):看板です…。
(弁護士):看板?
   (相談者):はい。
(弁護士):広告に使うあの看板ですか?
   (相談者):はい。
(弁護士):…あの何か貴重な骨董品か何かだったんでしょうか?
   (相談者):いえ、私が自分で木の板に筆で書いて作ったものですから。
(弁護士):はあ…。
   (相談者):私、家で自営業をしているもので…。
(弁護士):そのお店の看板ですか?
   (相談者):はい。
(弁護士):ちなみに家で飲食店か何か経営されてるんでしょうか?
   (相談者):いえ、飲食店では無いです。
(弁護士):では何を経営されてるんですか?
   (相談者):…言わなきゃ駄目ですかね?
(弁護士):まぁ出来れば、裁判になった際には必要な情報ですので…。
   (相談者):そうですか、まぁえっと…道場ですね。
(弁護士):道場?
   (相談者):はい…。
(弁護士):何の道場ですか?
   (相談者):まぁえっと…空手の…道場です…。
(弁護士):空手の道場?
   (相談者):はい…。
(弁護士):空手の道場の看板を取られたんですか?
   (相談者):はい…。

(弁護士):え、どうやって取られたんですか?
   (相談者):まぁえっと…戦って…。
(弁護士):戦って?え?犯人が何か武器を所持していて、それで空手で応戦したという事
ですか?
   (相談者):いえお互い素手でした…。
(弁護士):…なら空手で戦ったという事ですか?
   (相談者):まぁ私は空手で、向こうは総合格闘技みたいな感じの流派でした。
(弁護士):はぁ…じゃあ突然襲われたんじゃないんですか?
   (相談者):はい…目潰しと金的は無しでみたいなルールは決めてました。
(弁護士):え?それはまぁなんていうか、ちょっと素人なんで解らないんですけど、もしかして空手での決闘といいますか、立ち会いみたいな感じなんですか?
   (相談者):まぁ…一般的に言うとそうですね…。
(弁護士):道場の看板をかけた?
   (相談者):はい…。
(弁護士):え!?…じゃあ何かすいません、思ってた感じと違うんですけど…盗まれた看板に関しては、その立ち会う前に何か取り決めをしていたんですか?
   (相談者):あはい、私が負けたら、ここの道場の看板は貰っていくと言われてまし
   た。
(弁護士):えっ!?そういう取り決めがあったんですかっ!?…それなら大分話が違ってきますけど、それで貴方はなんて言ったんですか?
   (相談者):それで構わないと言いました。
(弁護士):ええ゛っ!!
   (相談者):それで私が負けて、犯人は約束通り看板は貰って行くと言って…。
(弁護士):それで持っていかれたんですか?
   (相談者):いえ、重いからってその場で叩き折られました。
(弁護士):ええ゛…悲惨というかなんというか、そんな話初めて聞きましたよ…。
   (相談者):こんな…こんな体も心も道場も再起不能にされてこれからどうやって生
   きていけば良いのか…。
(弁護士):因みに怪我か何かされていたのに無理やり戦わされたって事は無いですか?
   (相談者):犯人は分かりませんが、私は万全でした。

(弁護士):そうですか……例えば相手側がルールを破って来たとかは有りますか?
   (相談者):いえ…。
(弁護士):ん゛~…いや何か思ってた感じとやっぱり全然違いますね……。
   (相談者):え!?何がですか!?酷い話ですよね先生っ!!!
(弁護士):いやまぁ酷いのは酷い話なんですけどね…。
   (相談者):慰謝料とかはいくら位取そうですか?
(弁護士):いや~お互い合意の上でとなるとちょっと厳しいかもしれませんよね。
   (相談者):なんで!?どうしてですか!?私は被害者ですよ!お願いします先
   生!!私に代わって犯人に、法の鉄槌を加えて下さい!!!
(弁護士):まぁでもまだ通報もされてないのであれば、まず犯人を捕まえなくちゃいけませんよね…犯人に心当たりとかは無いんですか?

   (相談者):えっと犯人に殴られてから記憶がかなり曖昧だったんですけど…今先生
   に話すうちに、なんとなくぼんやりと思い出して来ました。
(弁護士):そうですか!?心当たりがあれば私からも警察にお話しますよ。
   (相談者):えっと…あれ…確かあいつは…見たことある…えっと…誰だっけ?あい
   つ…。
(弁護士):え!?知ってる人なんですか?
   (相談者):はい…あいつは…確か…えっと学校?…そうだ!学校で見た覚えがある
   ぞ!
(弁護士):学校?
   (相談者):はい、娘が通ってる学校で見た記憶があります。

(弁護士):もしかして体育教員ですか?いやレスリング部とかのコーチとか?それとも武道の師範とか?
   (相談者):いや…えっと確か…ん?1-Aって書いてます。
(弁護士):え!?そんなサイコメトラーみたいに今犯人の映像が浮かんでるんですか!?
   (相談者):はい…少しづつ記憶が蘇って来てます。
(弁護士):の1-Aって言うのはどこに書いてありますか?
   (相談者):胸に…。
(弁護士):胸?
   (相談者):はい…体育着に書いてます。
(弁護士):体育着!?生徒なんですか!?

   (相談者):は…い…ああああ…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
   ―――――!!!!!!
(弁護士):どうしました!!??
   (相談者):た、体育着に…名前が…書いてある…はぁ…はぁ…はぁ…あ゛  
   ―――――!!!!
(弁護士):記憶喪失が戻る時ってこんな感じなの!?ちょっと大丈夫ですか!?
   (相談者):あ゛あ゛――――!!!名前がーーーーー!!!服部先生
   ―――――!!!!
(弁護士):はい!いますよここに!大丈夫ですか!?その名前今読めますか!?
   (相談者):い…イノクマ…シズカ…そうだ!!思い出した!!!犯人は近所に住ん
   でる娘の同級生のシズカちゃんだ!久しぶりだったから分からなかったんだ!…は
   ぁ…はぁ…はぁ…よし!…よし!犯人を思い出したぞ!!これで慰謝料が取れ
   る!!!
(弁護士):あの…その娘さんって何歳なんですか?
   (相談者):今中1ですけど。
(弁護士):やっぱり裁判止めときましょう!!!




終わり。